前回は、天文学におけるキロンとギリシャ神話のキロンを見てきました。
神話と照らし合わせながら解釈を書いていたら、思いのほか長くなってしまったので、今回はキロンの象意を整理することに留めておきます。
1.キロンの象意
≪キロンの象意≫
心の傷、コンプレックス、トラウマ、恐れ、傷ついたヒーラー、癒し、孤児、インナーチャイルド、群れから離れた子牛、スケープゴート、孤独、疎外感、アウトサイダー、思いやり、奉仕、犠牲、脆弱、障害、弱点、置換、オルタナティブ、メンター、医師、教師、予言者、統合、解脱。
ギリシャ神話のキロンの物語を読んだ後であれば、これらの象徴がどれも腑に落ちるのではないかと思います。
2.象意は“そのまま”ではない
他の天体にも言えることですが、象意の中には見ていて不安になるような言葉もあります。
けれど、象意とはその天体の性質を象徴するキーワードのようなものであって、
たとえば「孤児」と書いてあるからといって、キロンを持つ人がみんな孤児になるわけではありません。
また、自分の好ましい象意に強引にこじつけて読むのも適切ではありません。
実際には、配置や他の天体との絡みによって、親和性の高い象意が自然と浮かび上がってくるような感覚になります。
なので、象意だけを見て無暗に怖がらないでいただけたらと思います。
3.キロンの傷──理不尽に背負わされるもの
キロンの神話を思い返すと、ふと「親の因果が子に報う」というフレーズが浮かびました。
父クロノスの悪行の報いが、罪のないキロンに及び、彼が苦しむ──
キロンの示す傷とは、自分のせいではないのに理不尽に背負わされ、しかも逃れられずにずっとついてまわるような種類のものなのかもしれません。
神話から心の傷克服のヒントを得ようとしても、キロンの場合は“解脱”のような境地で、
そのまま参考にするには、普通の人にはハードルが高すぎる気もします。
4.キロンは誰のチャートにもある
とはいえ、キロンは出生図のどこかに必ず存在します。
つまり、誰もが大なり小なり心の傷やコンプレックスを抱えているということになります。
キロンの出方や実感には個人差があり、
あまり感じないという人もいれば、辛い体験を通してトラウマとなっている方、
あるいは医療従事者やヒーラーなど、癒しの仕事に就いている方など、様々です。
キロンは公転周期がそこそこ長いため、同年代の人はだいたい同じサインにあります。
そのため、キロンは個人というより集団の問題に関連しているとされますが、
配置や他の天体とのアスペクト次第では、個人レベルでキロンのテーマを経験することになります。
このあたりが、人によってキロンの実感に差が出る理由のひとつなのかなと思います。
5.傷とともに生きるということ
心の傷やコンプレックスのない人はいません。
自分の傷はとても大きく感じるものですが、それに囚われて人生をめちゃくちゃにしてしまわないことを願うばかりです。
「こんな自分、嫌だ」と否定するのではなく、
自分を認める・許す・受け入れる──傷とともに生きていく
それがキロンの癒しであり、キロンの半人半馬という姿の「統合」なのではないかと思います。
とはいえ、私自身は…
そんなことを言っても、私自身はまだ全然癒しの段階までいっていませんけどね……。
次回予告:私のキロンを読む
長くなってしまったので、続きは「その③」へ。
今回は少しふわっとした話になりましたが、次回は私の出生図のキロンを使って、
より具体的に考察していこうと思います。


