キロンという星-牡羊座にある私の傷

「キロンって所詮小惑星でしょ。」
そう思っていたので、これまでキロンをまともに見てきませんでした。
ところが、キロンを深掘りしていくうちに、「本当にやりたいことがわからない」という私の長年の悩みが、どこに根ざしているのかに気づかされました。
もし10天体をきちんと読んでいるにも関わらず、腑に落ちないモヤモヤが残るという人は、キロンを深掘りしてみると何かヒントが得られるかもしれません。
ただ、そうはいってもキロンは小惑星。
いきなりキロンから読むのではなく、基本の10天体を読んだうえで、キロンで隙間を埋めるような読み方をすると、納得感を得られやすいのではないかと思います。
傷は、キロンだけに唐突に表れるのではなく、10天体を見てもやはりそういう動きになっていることがわかります。

1.私のキロン─牡羊座にある“私”の傷

前々回は天文学と神話のキロン、前回は象意について追ってきました。
今回は、私の出生図のキロンを使って、より具体的に考えてみます。
私のキロンは牡羊座にあり、アイデンティティやリーダーシップに関する傷となるようです。
リーダーシップはアイデンティティという土台があってこそ発揮できるもの。
そう考えると、牡羊座キロンの癒しには段階があり、まずはアイデンティティの傷に向き合う必要があると感じました。
なので、今回はリーダーシップはひとまず置いておいて、アイデンティティについて考えていきます。

2.アイデンティティとは何か──“自分は何者か”の問い

アイデンティティ(identity)は「自己同一性」と訳され、
発達心理学や哲学では「自分は何者なのか」という概念を指します。
心理社会的発達理論では、青年期に獲得すべき課題とされ、
「自分の目指す道」「人生の目的」「存在意義」など、社会における自分の役割や位置づけを認識できるようになることが「アイデンティティの確立」と呼ばれます。
それがうまくいかないと「アイデンティティの拡散」が起こり、
進学・就職・結婚など人生の岐路で、主体的に選択・決断できなくなることもあるそうです。
(詳細は「アイデンティティの拡散」などで検索してみてください)

3.牡羊座キロン──世代の傾向と個人の違い

キロンは牡羊座に約8年滞在します。
その間に生まれた人がみんなアイデンティティの確立がうまくいかないとは考えにくく、「自己主張控えめな世代」「自分らしさに迷いやすい世代」といった、世代全体の傾向として表れることが多いのではないかと思います。
けれど、牡羊座キロンの配置やアスペクト次第では、アイデンティティの確立がうまくいかないことによる個人的な困難として表れることもあります。
(もしかすると、牡羊座キロンでなくても、牡羊座の個人天体とキロンがハードアスペクトになることで似たような問題が出てくるかもしれません。未検証ですが…)

4.私の出生図に見る“他人軸”の強さ

前者のような世代的傾向に対しては、
「自分らしさに自信を持てない自分を否定せず、時間をかけて受け入れていく」ことがキロンの癒しになるかと思います。

後者のような個人の課題として表れる場合は、アイデンティティの確立に向けて具体的に取り組んでいくことが必要になるでしょう。
私の場合は、ASC天秤座、1→7、7ハウス強調、太陽DSC合(5度前ルール)などがあり、自分自身を他者に引き渡してしまう傾向が強く、かなり“他人軸”寄りです。
おそらく、アイデンティティを確立すべき時期に、他者から見た自分や他人の意向を気にしすぎて、うまく確立できなかったのではないかと思います。
その結果が、今の「本当にやりたいことがわからない」につながっているのかもしれません。

5.自分軸のトレーニングと、7ハウスキロンの意味

私の場合、自分軸のトレーニングが、アイデンティティの確立の手助けになるかもしれません。
また、キロンが7ハウスにあることで、
パートナーシップや人間関係を通じて傷と癒しを体験することになるそうです。
「自分は何者なのか、自分自身を知る」という課題を、自分ひとりでやるのではなく、人間関係を通じてやることになる──
これは、単独行動が多い私にとっては、なかなかハードルの高い課題です。
けれど、ここを頑張っていかないと、人生の停滞からは抜け出せないのかもしれません

6.キロンの影響を受けやすい配置

キロンが影響を受けやすくなると言われる配置はこちらです↓ 
 ☆ 1・4・7・10ハウスにある
 ☆ 太陽・月とアスペクトしている
 ☆ チャートルーラーとアスペクトしている

7.キロンとドラゴンテイル─親や社会のせいだと言い訳?

私の出生図のキロンは、他の天体とアスペクトがありません。
強いて言えば、ドラゴンテイルとのゆるゆる合があるくらいです。
このアスペクトがあると、
「大人になってから生じた問題は子ども時代に起因していると考える。ストレスがかかると親のせい、社会のせいだと言い訳する」

──そんな傾向があるそうです。
確かに、そういうところは否めません。(…ちょっと反省)

8.牡羊座の天体群と、間接的な影響?

キロンと天体がハードアスペクトを形成していると、
その天体の力が弱められたり、厳しい体験をすることもあるようです。
私の場合、アスペクトはないものの、
牡羊座サインには太陽・水星・金星・ドラゴンテイルも入っているため、
牡羊座の性質にキロンの傷が間接的に影響している可能性もあるのではないかと思います。

9.キロンは架け橋─土星と天王星のあいだで揺れる私

キロンは、土星と天王星の間に軌道を持つことから、この2つの天体の“架け橋”になるとされています。

私のチャートでは、このような配置があります。↓

  • 2ハウス蠍座に天王星
  • 10ハウス獅子座に土星

2ハウス天王星のテキスト的解釈では、「収入に変動があり安定しない」「オリジナルな方法で収入を得る」などとされ、リマーナすず先生には「突拍子もないもの。コンピューター占星術とか」と言われました。

でも、実際の私は経理的事務員として、毎月決まった給与を得ています。
このギャップがずっと謎だったのですが、
キロンが土星と天王星の架け橋になるという視点で考えると、説明がつくような気がします。

10.土星の制限と、天王星の自由──その間にあるキロン

土星は、社会的秩序やルールを象徴する天体。
つまり、「どうすれば社会に受け入れてもらえるか」「そのために自分に課す制限や我慢」そういう見方もできます。

私の土星は10ハウス獅子座。
目立たないように自分の能力や個性を抑えることで、集団に入れてもらい、安定した生活を得ている──
そんな生き方をしてきました。

けれど、もし私がアイデンティティを確立し、リーダーシップをとれるようになったら──
土星の制限を突破して、天王星の自由にたどり着けるのかもしれません。

そうなったら、
みんながあっと驚くような奇想天外な方法で稼ぐようになって、
会社に縛られない自由な生き方をするようになるかもしれません。

11.キロンが促す自己探究──血の中に眠る才能

では、そうするための能力はどこから得られるのか。
私はこれまで、自分探しの名のもとに、ありとあらゆることを学んできました。

でも、もしかすると──
2ハウス蠍座天王星という事を鑑みるに、能力や才能は、すでに自分の血の中に眠っているのかもしれません。
それは、牡羊座キロンによって促される自己探究のプロセスを通じて、少しずつ発掘されていくものなのではないでしょうか。

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