キロンという星③-牡羊座にある私の傷

キロンは所詮小惑星──そう思って、私はまともに読んできませんでした。

けれどキロンを深掘りしてみることで、私の『本当にやりたいことがわからない』という長年の悩みが、どこに根ざしているのかに気づかされました。

ただし、キロンは傷の在処を教えてくれる存在ではあるものの、どのようにして、その傷を抱えるに至ったのかを推測するには、やはり10天体を読む必要があります。
ですので、いきなりキロンから読むのではなく、基本の10天体を徹底的に読んだうえで、キロンで隙間を埋めるような読み方をすると、納得感を得られやすいのではないかと思います。

1.アイデンティティの問いと他人軸の構造

私のキロンは牡羊座にあり、アイデンティティやリーダーシップに関する傷となるようです。
リーダーシップはアイデンティティという土台があってこそ発揮できるもの。
そう考えると、牡羊座キロンの癒しには段階があり、まずはアイデンティティの傷に向き合う必要があると感じました。

アイデンティティ(identity)は「自己同一性」と訳され、発達心理学や哲学では「自分は何者なのか」という概念を指します。
心理社会的発達理論では、青年期に獲得すべき課題とされ、「自分の目指す道」「人生の目的」「存在意義」など、社会における自分の役割や位置づけを認識できるようになることが「アイデンティティの確立」と呼ばれます。
それがうまくいかないと「アイデンティティの拡散」が起こり、進学・就職・結婚など人生の岐路で、主体的に選択・決断できなくなることもあるそうです。
(詳細は「アイデンティティの拡散」などで検索してみてください)

キロンは牡羊座に約8年滞在します。
その間に生まれた人がみんなアイデンティティの確立がうまくいかないとは考えにくく、「自己主張控えめな世代」「自分らしさに迷いやすい世代」といった、世代全体の傾向として表れることが多いのではないかと思います。

けれど、牡羊座キロンの配置やアスペクト次第では、アイデンティティの確立がうまくいかないことによる個人的な困難として表れることもあるのではないでしょうか。
(もしかすると、牡羊座キロンでなくても、牡羊座の個人天体とキロンがハードアスペクトになることで似たような問題が出てくるかもしれません。未検証ですが…)

私の場合は、ASC天秤座、1→7、7ハウス強調、太陽DSC合(5度前ルール)などがあり、自分自身を他者に引き渡してしまう傾向が強く、かなり“他人軸”寄りです。
おそらく、アイデンティティを確立すべき時期に、他者から見た自分や他人の意向を気にしすぎて、うまく確立できなかったのではないかと思います。
その結果が、今の「本当にやりたいことがわからない」につながっているのかもしれません。

2.土星と天王星のあいだで揺れる私

私の出生図のキロンは、他の天体とアスペクトがありません。強いて言えば、ドラゴンテイルとのゆるゆる合があるくらいです。このアスペクトがあると、

「大人になってから生じた問題は子ども時代に起因していると考える。ストレスがかかると親のせい、社会のせいだと言い訳する」

──そんな傾向があるそうです。確かに、そういうところは否めません。
私は、社会のあおりをくらった世代。
生まれた時代が悪かった…とそのせいにしてしまうところが私にはあります。(反省)

また、キロンと天体がハードアスペクトを形成していると、その天体の力が弱められたり、厳しい体験をすることもあるようです。私の場合、アスペクトはないものの、牡羊座サインには太陽・水星・金星・ドラゴンテイルも入っているため、牡羊座の性質にキロンの傷が間接的に影響しているのかもしれません。

キロンは、土星と天王星の間に軌道を持つことから、この2つの天体の“架け橋”になるとされています。
私のチャートでは、このような配置があります:

  • 2ハウス蠍座に天王星
  • 10ハウス獅子座に土星

2ハウス天王星のテキスト的解釈では、「収入に変動があり安定しない」「オリジナルな方法で収入を得る」などとされ、リマーナすず先生には「突拍子もないもの。コンピューター占星術とか」と言われました。
でも、実際の私は経理的事務員として、毎月決まった給与を得ています。このギャップがずっと謎だったのですが、キロンが土星と天王星の架け橋になるという視点で考えると、説明がつくような気がします。

土星は、社会的秩序やルールを象徴する天体。つまり、「どうすれば社会に受け入れてもらえるか」「そのために自分に課す制限や我慢」そういう見方もできます。
私の土星は10ハウス獅子座。目立たないように自分の能力や個性を抑えることで、集団に入れてもらい、安定した生活を得ている──そんな生き方をしてきました。

けれど、もし私がアイデンティティを確立し、リーダーシップをとれるようになったら──
土星の制限を突破して、天王星の自由にたどり着けるのかもしれません。
そうなったら、みんながあっと驚くような奇想天外な方法で稼ぐようになって、会社に縛られない自由な生き方をするようになるかもしれません。

3.血の中に眠る才能──キロンが促す自己探究

では、そうするための能力はどこから得られるのか。
私はこれまで、自分探しの名のもとに、ありとあらゆることを学んできました。
でも、もしかすると──

2ハウス蠍座天王星という事を鑑みるに、能力や才能は、すでに自分の血の中に眠っていて、
それは、牡羊座キロンによって促される自己探究のプロセスを通じて、少しずつ発掘されていくものなのかもしれません。


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