セクトとは何か──昼と夜で変わる天体の働き方

同じ天体でも、なぜこんなに表れかたが違うのか?

木星って“幸運の星”って言われるけど、自分のホロスコープを読んでいて、正直そんなふうに感じたことがないんですよね。
私の他にも、そう感じたことのある方、いませんか?
私はずっと、その違和感をモヤモヤと抱えてきました。
木星に限らず、他の人の出生図を読んでいても、同じ天体でも働き方がまるで違って見えることが、時々あります。

どういう仕組みや理屈でそうなるのか──それがずっと気になっていました。
たとえば、出生図で火星が上昇している(ASC火星合)男性を2人ほど知っています。
1人は熱いムードメーカーとしてみんなから慕われていて、もう1人は喧嘩っ早いトラブルメーカーとして周囲から敬遠されがちです。
もちろん、天体のサインやアスペクトなどによる影響もあるとは思うのですが、それだけで全てを説明するのは難しく、私には天体の“質そのもの”が根本的に異なっているように見えるのです。
火星は本来なら凶星とされますが、前者の男性の出生図では、まるで吉星のように働いている──この不思議さがモヤモヤとなって、心に引っかかっていました。

1.セクトという概念との出会い

そんなモヤモヤを抱えていたときに、伝統的(古典)占星術の「セクト」という概念を知り、個人的にはものすごく納得しました。

今回は、そのセクトについてお話ししていこうと思います。

セクトとは、伝統的占星術における「の区分」のことです。

伝統的(古典)占星術では、天体はの天体との天体に分けられます。
(トランスサタニアンは含まれません。)

の天体
属性)
の天体
属性)
ライト太陽
吉星木星金星
凶星土星火星
表①
中立水星

2.チャートそのものも昼のチャートと夜のチャートに分けられる

伝統的(古典)占星術では、チャートそのものものチャートとのチャートに分けられます
どちらになるかは、太陽が地平線軸(ASC-DSC)より上にあるか下にあるかで判断します。

(例)私の太陽は6ハウスの終わりにあるので、のチャートになります。

、どちらのチャートになるかによって、意識のベース部分に下記のような違いが出てくるのではないかと個人的には思っています。

「なんか、古典らしくない・・・」と思われた方、正解です。
古典の概念をモダンに取り入れるために、私が勝手にこういう感じになるのではと思って検証中なだけなので、ピンとこない人はここは無視してください。

のチャート外発的動機づけタイプ
意識が外に向かっている
のチャート内発的動機づけタイプ
意識が内に向かっている


『意識が内に向かっている』とは、興味・関心が自分の内部に向かいやすいという事です。
自分の感覚や才能にも真剣に向き合うので、芸術家タイプも多いのではないかと思っております。

3.昼のチャートと夜のチャートで変わる大吉星と大凶星

のチャートとのチャートどちらなのかによって、大吉星と大凶星が異なります。

のチャートのチャート
セクトライト
(セクトのリーダー)
太陽
セクトの大吉星木星金星
セクトの大凶星火星土星

水星は太陽よりも先にASCを昇るならばの天体、後に昇るならばの天体となります。

注意して欲しいのは、凶星が『表①』とは、逆になっている事です。
のチャートにおける火星、のチャートにおける土星は、それぞれ性質がtoo muchとなってしまうため、凶意が増すからです。

つまり、火星はのチャートで暴走しやすく、土星はのチャートで抑圧的になりやすい──そんなふうに理解すると、出生図の中での天体の働き方が少し見えてくるかもしれません。

のチャートにおいて火星の入るハウス→過剰に激しくなってしまう。
のチャートにおいて土星の入るハウス→必要以上に制限される。

4.セクトの吉星・凶星が在るハウスの意味

セクトの大吉星が位置するハウスは、物事が順調に進んだり、活躍しやすい分野となると言われています。
逆に、セクトの大凶星が位置するハウスは、問題が起きやすい分野となる可能性があります。

「えー…問題って何よ?」と思われるかもしれませんが、その天体の性質に従って、起きやすい問題の傾向があるとされています。

(例)夜のチャートで土星が獅子座の10ハウスにある私の場合──
どの職場でも、上司に恵まれません。部下を育ててくれるタイプの上司ではなく、逆に上司の子守りみたいな状態になりやすいです。
よく言えば頼られているとも言えますが、正直、キャリアを上司に食いつぶされているような感覚は否めません。

まとめると、このようになります。↓

有用な働きをする天体あまり働かない吉星悪さをする凶星
のチャート太陽・木星・土星金星火星
のチャート月・金星・火星木星土星


5.セクトを得ているかどうかが重要

セクトを得ているか、外れているかをまとめるとこのようになります。↓

のチャートにおいて太陽・木星・土星
水星(の天体となった)
→セクトを得ている
のチャートにおいて月・金星・火星
水星(の天体となった)
→セクトを外れている
(逆セクト)
のチャートにおいて月・金星・火星
水星(の天体となった)
→セクトを得ている
のチャートにおいて太陽・木星・土星
水星(の天体となった)
→セクトを外れている
(逆セクト)

古い文献を元に書かれた本やブログなどを読むと、セクトを得ている凶星が吉星のように働いたり、逆にセクトを外れている吉星が凶星のように働くことがあるとされています。

この「セクトを得ている or 外れている」は、実はかなり重要なポイントです。

木星は万人にとって幸運の星ではなく、土星も万人にとって不運の星でもない──セクトの視点を加えることで、天体の評価が一気に変わる可能性があるのです。

セクトを外れている吉星が凶星のように働くケースとしては、凶意の強いハウスに入っている場合などが挙げられます。

つまり、本格的に見ていこうとするならば、「セクトを得ているかどうか」を取っ掛かりにして、ハウスやサイン、ディグニティ、アクシデンタルなどの要素を絡めて判断していく──そんな流れになります。

6.まずは自分のチャートで試してみよう

とはいえ、そこまで細かく見るのはちょっとハードルが高いかもしれません。
なので、まずは「自分が昼と夜どちらのチャートになるのか」「吉星と凶星は何になるのか」などをチェックすることから始めてみてもいいのではないでしょうか。
それだけでも、「あ〜だからか〜」と腑に落ちるような何かを得られるかもしれません。

他にもハルブとかヘイズとかの概念もありますが、長くなってきたので今回はこのへんにて。

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